糖尿病原因
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糖尿病を進行させてしまう行動? 後悔しないために知っておくべきこと

公開日
更新日

 
執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社 とらうべ
 
 
既に国民病と言っても過言ではない、糖尿病。
 
後悔しないために知っておくべきことについて、この記事では説明します。
 
「人生における一番の楽しみは『食べること』だから、ついつい食べ過ぎてしまう」こんな人も多いと思います。
 
「食べ過ぎたら、ダイエットをすればいいし、失敗したらまた挑戦すればいい」という考えの方もいますが、一度糖尿病を患ってしまうと、そうはいかなくなります。
 
なぜなら、そこには「合併症」というリスクが存在するからです。
 
そこで今回は、糖尿病患者にありがちな行動パターンをご紹介しますので、自分も同じようなことをしていないか、チェックしてみてください。
 
 

糖尿病を進行させてしまう行動:治療を続けず車いす生活に

 
糖尿病の合併症によって、足指を切断することになってしまったC子さんのケースをとりあげます。
 
50歳の時に「糖尿病」と診断された彼女。服薬と食事指導の生活をスタートしましたが、「食べること」がもともと大の楽しみで、1日2回の間食をしていた彼女にとって、食事制限をすることは大きな負担でした。
 
服薬を続けて3か月後に受診。
 
しかし、血糖値の状態は悪化していました。この結果を見たC子さんは、「飲んでも飲まなくても結果は変わらない」という気持ちになり、通院も服薬も中断し、これまでの生活に戻ってしまいました。
 
5年後、C子さんは55歳になりました。
 
ある日、「なんだか歩きにくいな」そう思って自分の足を見てみると、驚くことに右足の薬指から小指までが真っ黒に変色していたのです。
 
実は、糖尿病の治療を放置している間に、合併症である「神経障害」を併発し、足の感覚が麻痺するようになっていました。
 
そのため、靴擦れしていることにも気がつくことができず、彼女の足は膿み、潰瘍となって壊死(えし)してしまったのです。
 
急いで病院に行ったC子さん。
 
しかし、もうその足指は切断する以外になく、結局車いすの生活を余儀なくされたのです。
 
糖尿病 あなたは大丈夫ですか?
 
 

気づかずに悪化する理由とは

 
このようなケースは、決して珍しくありません。
 
実は、健診などで「血糖値が高い」と指摘される糖尿病の初期段階では、自覚する症状が「まったく」といっても過言ではないほど、現れないのです。
 
しかし、血糖値が高い状態が続くことで、徐々に血管はダメージをうけ、全身の細い血管の障害が進みます。
 
このように、糖尿病の本当の怖さとは、その後に引き起こされる合併症なのです。
 
 

本当の怖さって?

 
3大合併症のなかでも、1番早く起こりやすい神経障害は、糖尿病を患ってから、5年以内に発症することが多いといわれています。
 
「なんだか手足が痺れるな」と思って受診したところ、実は糖尿病だった、ということもあるくらいです。
 
C子さんのケースのように、やけどや怪我などに気づかないでそのままにしていると、そこから感染して炎症を起こすことがありますし、また、末端を通っている血管はもともと細くて血液が滞りやすくなっているため、怪我自体も治りにくく、そこから壊死してしまうこともあります。
 
 

ほかにもある!?怖い合併症

 
<糖尿病性網膜症>
神経障害の次に起こりやすく、こちらも細い血管の障害が原因です。
 
網膜の血管がつまったり、変形したりして酸素が行き届かなくなって、網膜が損傷を受ける疾患で、失明を防ぐために、進行を抑える治療を行います。
 
しかし、成人における失明原因の一番にもなっていることからも分かるように、状態によっては間に合わずに失明してしまうこともあるのです。
 
糖尿病に罹ってから、7~8年ほどで発症するとされていますが、症状が現れるのは、かなり進行してからになります。
 
そのため、「今は見えているし、大丈夫だろう」、こんな考え方は絶対にしてはいけません。何よりも定期検診をきちんと受けることが重要です。
 
 
<糖尿病性腎症>
腎臓がうまく働かなくなり、身体の老廃物を尿として出すことできなくなるため、血液中の老廃物を、専用の機械を用いて体外でろ過する「透析」を行います。
 
一般的には、「1回4時間程かかる透析を週に3回、一生」続けなければなりません。糖尿病になってから、10年ほどで発症に至る人が多いようです。
 
 

糖尿病を進行させてしまう行動 :重症化してしまうのはなぜ

 
厚生労働省が行った調査によると、病院などで糖尿病の治療中の40才以上の患者のうち、通院を中断する人は、1年間でおよそ10%、51万人にのぼるといわれています。
 
いったん放棄した治療を再び開始するのは気がひける、ということもあるのかもしれません。
 
合併症が出て、初めて「ことの重大さ」を認識し、受診を再開する人が多いのです。このような傾向は、若い世代ほど多いので、30代以下を含めると、放置している患者の数はかなり増えると推測されます。
 
このような背景には、糖尿病の初期でみられる自覚症状が少ない、ということはありますが、それ以外にも、生活習慣を変えることが難しい、ということもあるでしょう。
 
現段階では、医療によって糖尿病を完全に治すことはできません。そのため、血糖値をコントロールし、合併症を予防することが治療の目標になります。
 
しかし、症状が現れにくいということは、改善している実感もない、ということでもあります。

 
加えて、終わりの見えない治療ですから、モチベーションを高く持って取りくみ続けることもまた、難しいのです。
 
現在治療中の人も、まだ大丈夫と思ってる人も、本当の怖さを早いから知っておき、公開することがないようにしたいですね。
 
 
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師、助産師、看護師、保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
 
<監修者プロフィール>
株式会社とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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関連した情報として以下のものがあります。ご参考にしてください。
 
◆厚生労働省が運営する、生活習慣病予防のための健康情報サイト『e-ヘルスネット』では糖尿病についての詳細や、関連する記事が紹介されています。

 
◆Mocosuku運営の姉妹サイト
 
「血糖値の正常値 とはどれくらい? 血糖値が“高い” “低い”でどんな影響が?」
 
◆糖尿病についてコンパクトにわかりやすく説明した動画
 

 

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